Ant

Kotlin 2.2.0以降、KotlinにおけるAntビルドシステムのサポートは非推奨となります。 Kotlin 2.3.0ではAntサポートを削除する予定です。

しかし、もしAntの外部メンテナーになることにご興味がある場合は、 こちらのYouTrack課題にコメントを残してください。

Antタスクの取得

KotlinはAnt用に3つのタスクを提供します。

• kotlinc: JVMをターゲットとするKotlinコンパイラー
• kotlin2js: JavaScriptをターゲットとするKotlinコンパイラー
• withKotlin: 標準のjavac Antタスクを使用する際にKotlinファイルをコンパイルするためのタスク

これらのタスクは、Kotlinコンパイラーアーカイブのlibフォルダーにあるkotlin-ant.jarライブラリで定義されています。Antバージョン1.8.2以降が必要です。

KotlinソースのみでJVMをターゲットにする

プロジェクトがKotlinソースコードのみで構成されている場合、プロジェクトをコンパイルする最も簡単な方法はkotlincタスクを使用することです。

<project name="Ant Task Test" default="build">
    <typedef resource="org/jetbrains/kotlin/ant/antlib.xml" classpath="${kotlin.lib}/kotlin-ant.jar"/>

    <target name="build">
        <kotlinc src="hello.kt" output="hello.jar"/>
    </target>
</project>

ここで、${kotlin.lib}はKotlinスタンドアロンコンパイラーが解凍されたフォルダーを指します。

複数のルートを持つKotlinソースのみでJVMをターゲットにする

プロジェクトが複数のソースルートで構成されている場合、パスを定義するためにsrcを要素として使用します。

<project name="Ant Task Test" default="build">
    <typedef resource="org/jetbrains/kotlin/ant/antlib.xml" classpath="${kotlin.lib}/kotlin-ant.jar"/>

    <target name="build">
        <kotlinc output="hello.jar">
            <src path="root1"/>
            <src path="root2"/>
        </kotlinc>
    </target>
</project>

KotlinとJavaソースでJVMをターゲットにする

プロジェクトがKotlinとJavaの両方のソースコードで構成されている場合、kotlincを使用することも可能ですが、タスクパラメーターの繰り返しを避けるため、withKotlinタスクの使用を推奨します。

<project name="Ant Task Test" default="build">
    <typedef resource="org/jetbrains/kotlin/ant/antlib.xml" classpath="${kotlin.lib}/kotlin-ant.jar"/>

    <target name="build">
        <delete dir="classes" failonerror="false"/>
        <mkdir dir="classes"/>
        <javac destdir="classes" includeAntRuntime="false" srcdir="src">
            <withKotlin/>
        </javac>
        <jar destfile="hello.jar">
            <fileset dir="classes"/>
        </jar>
    </target>
</project>

また、コンパイルされるモジュールの名前をmoduleName属性として指定することもできます。

<withKotlin moduleName="myModule"/>

単一ソースフォルダーでJavaScriptをターゲットにする

<project name="Ant Task Test" default="build">
    <typedef resource="org/jetbrains/kotlin/ant/antlib.xml" classpath="${kotlin.lib}/kotlin-ant.jar"/>

    <target name="build">
        <kotlin2js src="root1" output="out.js"/>
    </target>
</project>

Prefix、PostFix、およびsourcemapオプションでJavaScriptをターゲットにする

<project name="Ant Task Test" default="build">
    <taskdef resource="org/jetbrains/kotlin/ant/antlib.xml" classpath="${kotlin.lib}/kotlin-ant.jar"/>

    <target name="build">
        <kotlin2js src="root1" output="out.js" outputPrefix="prefix" outputPostfix="postfix" sourcemap="true"/>
    </target>
</project>

単一ソースフォルダーとmetaInfoオプションでJavaScriptをターゲットにする

metaInfoオプションは、翻訳結果をKotlin/JavaScriptライブラリとして配布したい場合に有用です。 metaInfoがtrueに設定されている場合、コンパイル中にバイナリメタデータを含む追加のJSファイルが作成されます。このファイルは翻訳結果と一緒に配布する必要があります。

<project name="Ant Task Test" default="build">
    <typedef resource="org/jetbrains/kotlin/ant/antlib.xml" classpath="${kotlin.lib}/kotlin-ant.jar"/>

    <target name="build">
        <!-- out.meta.js will be created, which contains binary metadata -->
        <kotlin2js src="root1" output="out.js" metaInfo="true"/>
    </target>
</project>

リファレンス

要素と属性の完全なリストを以下に示します。

kotlincとkotlin2jsに共通の属性

Name	説明	必須	デフォルト値
src	コンパイルするKotlinソースファイルまたはディレクトリ	Yes
nowarn	すべてのコンパイル警告を抑制する	No	false
noStdlib	Kotlin標準ライブラリをクラスパスに含めない	No	false
failOnError	コンパイル中にエラーが検出された場合、ビルドを失敗させる	No	true

kotlincの属性

Name	説明	必須	デフォルト値
output	出力先ディレクトリまたは.jarファイル名	Yes
classpath	コンパイルクラスパス	No
classpathref	コンパイルクラスパス参照	No
includeRuntime	outputが.jarファイルの場合、Kotlinランタイムライブラリをjarに含めるかどうか	No	true
moduleName	コンパイルされるモジュールの名前	No	ターゲットの名前（指定されている場合）またはプロジェクト

kotlin2jsの属性

Name	説明	必須
output	出力先ファイル	Yes
libraries	Kotlinライブラリへのパス	No
outputPrefix	生成されるJavaScriptファイルに使用するプレフィックス	No
outputSuffix	生成されるJavaScriptファイルに使用するサフィックス	No
sourcemap	ソースマップファイルを生成するかどうか	No
metaInfo	バイナリディスクリプターを持つメタデータファイルを生成するかどうか	No
main	コンパイラーが生成したコードがmain関数を呼び出すべきか	No

生のコンパイラー引数を渡す

カスタムの生のコンパイラー引数を渡すには、valueまたはline属性とともに<compilerarg>要素を使用できます。 これは、<kotlinc>、<kotlin2js>、および<withKotlin>タスク要素内で実行できます。

<kotlinc src="${test.data}/hello.kt" output="${temp}/hello.jar">
    <compilerarg value="-Xno-inline"/>
    <compilerarg line="-Xno-call-assertions -Xno-param-assertions"/>
    <compilerarg value="-Xno-optimize"/>
</kotlinc>

使用できる引数の完全なリストは、kotlinc -helpを実行すると表示されます。