Maven

Mavenは、あらゆるJavaベースのプロジェクトをビルドおよび管理するために使用できるビルドシステムです。

プラグインの構成と有効化

kotlin-maven-plugin はKotlinのソースとモジュールをコンパイルします。現在、Maven v3のみがサポートされています。

pom.xml ファイルで、使用したいKotlinのバージョンを kotlin.version プロパティに定義します。

<properties>
    <kotlin.version>2.2.10</kotlin.version>
</properties>

kotlin-maven-plugin を有効にするには、pom.xml ファイルを更新します。

<plugins>
    <plugin>
        <artifactId>kotlin-maven-plugin</artifactId>
        <groupId>org.jetbrains.kotlin</groupId>
        <version>2.2.10</version>
    </plugin>
</plugins>

JDK 17の使用

JDK 17を使用するには、.mvn/jvm.config ファイルに以下を追加します。

--add-opens=java.base/java.lang=ALL-UNNAMED
--add-opens=java.base/java.io=ALL-UNNAMED

リポジトリの宣言

デフォルトでは、mavenCentral リポジトリはすべてのMavenプロジェクトで利用可能です。他のリポジトリ内のアーティファクトにアクセスするには、<repositories> 要素内で各リポジトリのIDとURLを指定します。

<repositories>
    <repository>
        <id>spring-repo</id>
        <url>https://repo.spring.io/release</url>
    </repository>
</repositories>

GradleプロジェクトでmavenLocal()をリポジトリとして宣言すると、GradleプロジェクトとMavenプロジェクトを切り替える際に問題が発生する可能性があります。詳細については、リポジトリの宣言を参照してください。

依存関係の設定

Kotlinには、アプリケーションで使用できる広範な標準ライブラリがあります。プロジェクトで標準ライブラリを使用するには、pom.xml ファイルに以下の依存関係を追加します。

<dependencies>
    <dependency>
        <groupId>org.jetbrains.kotlin</groupId>
        <artifactId>kotlin-stdlib</artifactId>
        <version>${kotlin.version}</version>
    </dependency>
</dependencies>

Kotlinのバージョンが以下のものより古い場合にJDK 7または8をターゲットとする場合：

• 1.8より古い場合は、それぞれ kotlin-stdlib-jdk7 または kotlin-stdlib-jdk8 を使用します。
• 1.2より古い場合は、それぞれ kotlin-stdlib-jre7 または kotlin-stdlib-jre8 を使用します。

プロジェクトがKotlinリフレクションまたはテスト機能を使用する場合は、対応する依存関係も追加する必要があります。アーティファクトIDは、リフレクションライブラリにはkotlin-reflect、テストライブラリにはkotlin-testおよびkotlin-test-junitです。

Kotlinのみのソースコードのコンパイル

ソースコードをコンパイルするには、<build> タグ内でソースディレクトリを指定します。

<build>
    <sourceDirectory>${project.basedir}/src/main/kotlin</sourceDirectory>
    <testSourceDirectory>${project.basedir}/src/test/kotlin</testSourceDirectory>
</build>

ソースをコンパイルするには、Kotlin Maven Pluginを参照する必要があります。

<build>
    <plugins>
        <plugin>
            <groupId>org.jetbrains.kotlin</groupId>
            <artifactId>kotlin-maven-plugin</artifactId>
            <version>${kotlin.version}</version>

            <executions>
                <execution>
                    <id>compile</id>
                    <goals>
                        <goal>compile</goal>
                    </goals>
                </execution>

                <execution>
                    <id>test-compile</id>
                    <goals>
                        <goal>test-compile</goal>
                    </goals>
                </execution>
            </executions>
        </plugin>
    </plugins>
</build>

Kotlin 1.8.20以降、上記の<executions>要素全体を<extensions>true</extensions>に置き換えることができます。エクステンションを有効にすると、compile、test-compile、kapt、test-kapt の各実行がビルドに自動的に追加され、それぞれの適切なライフサイクルフェーズにバインドされます。実行を構成する必要がある場合は、そのIDを指定する必要があります。これの例は次のセクションで確認できます。

複数のビルドプラグインがデフォルトのライフサイクルを上書きし、extensions オプションも有効にしている場合、<build> セクションの最後のプラグインがライフサイクル設定に関して優先されます。それ以前のライフサイクル設定への変更はすべて無視されます。

KotlinおよびJavaソースのコンパイル

KotlinとJavaのソースコードを含むプロジェクトをコンパイルするには、Javaコンパイラより前にKotlinコンパイラを呼び出します。Mavenの用語では、これはkotlin-maven-pluginがmaven-compiler-pluginより先に実行されるべきであることを意味します。具体的には、pom.xml ファイルで kotlin プラグインが maven-compiler-plugin より前に来るように、以下の方法を使用します。

<build>
    <plugins>
        <plugin>
            <groupId>org.jetbrains.kotlin</groupId>
            <artifactId>kotlin-maven-plugin</artifactId>
            <version>${kotlin.version}</version>
            <extensions>true</extensions> <!-- このオプションを設定すると、ライフサイクルに関する情報が自動的に取得されます -->
            <executions>
                <execution>
                    <id>compile</id>
                    <goals>
                        <goal>compile</goal> <!-- プラグインのエクステンションを有効にしている場合、<goals>要素をスキップできます -->
                    </goals>
                    <configuration>
                        <sourceDirs>
                            <sourceDir>${project.basedir}/src/main/kotlin</sourceDir>
                            <sourceDir>${project.basedir}/src/main/java</sourceDir>
                        </sourceDirs>
                    </configuration>
                </execution>
                <execution>
                    <id>test-compile</id>
                    <goals> 
                        <goal>test-compile</goal> <!-- プラグインのエクステンションを有効にしている場合、<goals>要素をスキップできます -->
                    </goals>
                    <configuration>
                        <sourceDirs>
                            <sourceDir>${project.basedir}/src/test/kotlin</sourceDir>
                            <sourceDir>${project.basedir}/src/test/java</sourceDir>
                        </sourceDirs>
                    </configuration>
                </execution>
            </executions>
        </plugin>
        <plugin>
            <groupId>org.apache.maven.plugins</groupId>
            <artifactId>maven-compiler-plugin</artifactId>
            <version>3.5.1</version>
            <executions>
                <!-- Mavenによって特別に扱われるdefault-compileを置き換える -->
                <execution>
                    <id>default-compile</id>
                    <phase>none</phase>
                </execution>
                <!-- Mavenによって特別に扱われるdefault-testCompileを置き換える -->
                <execution>
                    <id>default-testCompile</id>
                    <phase>none</phase>
                </execution>
                <execution>
                    <id>java-compile</id>
                    <phase>compile</phase>
                    <goals>
                        <goal>compile</goal>
                    </goals>
                </execution>
                <execution>
                    <id>java-test-compile</id>
                    <phase>test-compile</phase>
                    <goals>
                        <goal>testCompile</goal>
                    </goals>
                </execution>
            </executions>
        </plugin>
    </plugins>
</build>

インクリメンタルコンパイルの有効化

ビルドを高速化するには、kotlin.compiler.incremental プロパティを追加することでインクリメンタルコンパイルを有効にできます。

<properties>
    <kotlin.compiler.incremental>true</kotlin.compiler.incremental>
</properties>

あるいは、-Dkotlin.compiler.incremental=true オプションを付けてビルドを実行します。

アノテーション処理の構成

kapt – Mavenでの使用を参照してください。

JARファイルの作成

モジュールからのコードのみを含む小さなJARファイルを作成するには、Mavenのpom.xmlファイルのbuild->pluginsの下に以下を含めます。ここでmain.classはプロパティとして定義され、メインのKotlinまたはJavaクラスを指します。

<plugin>
    <groupId>org.apache.maven.plugins</groupId>
    <artifactId>maven-jar-plugin</artifactId>
    <version>2.6</version>
    <configuration>
        <archive>
            <manifest>
                <addClasspath>true</addClasspath>
                <mainClass>${main.class}</mainClass>
            </manifest>
        </archive>
    </configuration>
</plugin>

自己完結型JARファイルの作成

モジュールからのコードとその依存関係を含む自己完結型のJARファイルを作成するには、Mavenのpom.xmlファイルのbuild->pluginsの下に以下を含めます。ここでmain.classはプロパティとして定義され、メインのKotlinまたはJavaクラスを指します。

<plugin>
    <groupId>org.apache.maven.plugins</groupId>
    <artifactId>maven-assembly-plugin</artifactId>
    <version>2.6</version>
    <executions>
        <execution>
            <id>make-assembly</id>
            <phase>package</phase>
            <goals> <goal>single</goal> </goals>
            <configuration>
                <archive>
                    <manifest>
                        <mainClass>${main.class}</mainClass>
                    </manifest>
                </archive>
                <descriptorRefs>
                    <descriptorRef>jar-with-dependencies</descriptorRef>
                </descriptorRefs>
            </configuration>
        </execution>
    </executions>
</plugin>

この自己完結型のJARファイルは、アプリケーションを実行するためにJREに直接渡すことができます。

java -jar target/mymodule-0.0.1-SNAPSHOT-jar-with-dependencies.jar

コンパイラオプションの指定

コンパイラ用の追加オプションと引数は、Mavenプラグインノードの<configuration>要素の下にタグとして指定できます。

<plugin>
    <groupId>org.jetbrains.kotlin</groupId>
    <artifactId>kotlin-maven-plugin</artifactId>
    <version>${kotlin.version}</version>
    <extensions>true</extensions> <!-- ビルドへの実行の自動追加を有効にしたい場合 -->
    <executions>...</executions>
    <configuration>
        <nowarn>true</nowarn>  <!-- 警告を無効にする -->
        <args>
            <arg>-Xjsr305=strict</arg> <!-- JSR-305アノテーションの厳格モードを有効にする -->
            ...
        </args>
    </configuration>
</plugin>

多くのオプションは、プロパティを介して構成することもできます。

<project ...>
    <properties>
        <kotlin.compiler.languageVersion>2.1</kotlin.compiler.languageVersion>
    </properties>
</project>

以下の属性がサポートされています。

JVM固有の属性

名前	プロパティ名	説明	可能な値	デフォルト値
nowarn		警告を生成しない	true, false	false
languageVersion	kotlin.compiler.languageVersion	指定されたKotlinバージョンとのソース互換性を提供します	"1.8", "1.9", "2.0", "2.1", "2.2" (EXPERIMENTAL)
apiVersion	kotlin.compiler.apiVersion	指定されたバージョンのバンドルされたライブラリからの宣言のみを使用できるようにします	"1.8", "1.9", "2.0", "2.1", "2.2" (EXPERIMENTAL)
sourceDirs		コンパイルするソースファイルを含むディレクトリ		プロジェクトのソースルート
compilerPlugins		有効なコンパイラプラグイン		[]
pluginOptions		コンパイラプラグインのオプション		[]
args		追加のコンパイラ引数		[]
jvmTarget	kotlin.compiler.jvmTarget	生成されるJVMバイトコードのターゲットバージョン	"1.8", "9", "10", ..., "24"	"1.8"
jdkHome	kotlin.compiler.jdkHome	デフォルトのJAVA_HOMEの代わりに、指定された場所からカスタムJDKをクラスパスに含めます

BOMの使用

KotlinのBill of Materials (BOM)を使用するには、kotlin-bomへの依存関係を記述します。

<dependencyManagement>
    <dependencies>  
        <dependency>
            <groupId>org.jetbrains.kotlin</groupId>
            <artifactId>kotlin-bom</artifactId>
            <version>2.2.10</version>
            <type>pom</type>
            <scope>import</scope>
        </dependency>
    </dependencies>
</dependencyManagement>

ドキュメントの生成

標準のJavadoc生成プラグイン(maven-javadoc-plugin)はKotlinコードをサポートしていません。Kotlinプロジェクトのドキュメントを生成するには、Dokkaを使用します。Dokkaは混在言語プロジェクトをサポートし、標準Javadocを含む複数の形式で出力を生成できます。MavenプロジェクトでDokkaを構成する方法の詳細については、Mavenを参照してください。

OSGiサポートの有効化

MavenプロジェクトでOSGiサポートを有効にする方法を学びましょう。